皆さんお疲れ様です、サラリーマンサイクリストのシュンです。
「梅でも見に行こうか」
そう考えたのは週末も迫る木曜日。土日は積み上げられる用事を淡々とこなし、祝日の朝に何とか時間を得る事が出来た。
ペダルに力を込めると早朝の冷え切った空気が頬を刺すが、同時に自由を感じて心地が良い。
交換したばかりの120㎜ステムが少々ハンドリングに影響しているようだが「そのうち慣れてくるだろう」と気にしない事にして進む。
集合場所に先着しこの日の道連れであるNK氏を待った。
気温は低くても日光の柔らかさを感じる。季節が着実に進んでいるのだ。
彼には事前にルートを伝えてあったので軽量な自転車で現れた。ガッチリとして男らしい体格とは若干不釣り合いには見えたが後半に難所があるので最良の選択だろう。
一通り挨拶をしたら慣れた道を進む。時折後ろから聞こえるカンパニョーロのラチェット音を確認しながらペースを刻んでゆく。
勾配が強くなると体重差からNK氏と少々距離が空くが、勾配が緩むと持ち前のパワーでグングン追い付いてくる。
心の中で「いい相棒だな」と呟いた。
和束町-甲賀市の県境を通過し、いつもとは逆の方向へ進む。途中で伊賀上野方面に南下しそこから西へ舵を切って月ヶ瀬梅林を経由して奈良市内に戻る算段をしているからだ。
信楽町は高度が高く気温が低い。シューズカバー無しのNK氏は「足先がヤバい」と辛そうな顔をしていた。
気持ち良く国道422号の山道を走っている時にそれは起きた。
丸柱小学校の先の見通しの悪いカーブの先から不意に紫の乗用車が現れ、左によけて仕方なく木の枝を踏んだ時にリアに嫌な感触を感じた。
次の瞬間に空気が漏れる「しゅーーーっ」という音に気が付きパンクと確信した。残念ながらバルブから150㎜付近をサイドカットしていた。
「この程度なら問題無く復旧できるな」と考えたと同時に1000kmしか使っていない高級タイヤを廃棄する事がショックに感じた。
「また金が要る」というのが率直な感想だ。
傷ついた部分から交換したチューブがはみ出して破裂しないように裏側から当て物をする。タイヤブートは持ち合わせてなかったので今回はチューブを包んでいた包装袋を補強に使用した。トレッド面のパンクならもっと強度のある1000円札を補強に使用する所だ。
NK氏とワイワイと騒ぎながら修理していたので逆に少々楽しかった。これも気の合う道連れがあってこそ生まれる感情だ。
自転車を始めて7年半、この程度のトラブルで慌てる事はなくなった。
空気の充填も含め20分ほどで復帰し、また二人で力強くペダルを漕ぎだした。
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後編へ続く…